[レポート]クルミドギャラリーVol.5「美しい本をつくる‐手製本の世界‐」

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[レポート]クルミドギャラリーVol.5「美しい本をつくる‐手製本の世界‐」

5回目となるクルミドギャラリーでは、製本を担当してくださった美篶堂さんにスポットをあてました。日本に残る数少ない手製本の技術を持つ工房で、その美しい手仕事に私たちも心をうばわれ、二冊の本の製本をお願いしました。美しさの奥には多くの工程をひとつひとつ手で、丁寧に、というたくさんの時間と技と想いが込められていて、美篶堂さんが大切にしてこられたことをクルミド出版が大切にしていきたいこととあわせてお伝えしたいと考えました。

オープンギャラリーでは、製本道具や製本途中の束見本などを展示し、原稿ができてから本の姿になるまでの過程を展示しました。

その後、美篶堂から店主の上島明子さんに来ていただき実際に製本の工程を体験できるワークショップを開催していただきました。小さなブロックメモノートを製本したのですが、まずブロックメモやクロスの布のカラフルな美しい組み合わせに参加者のみなさんの目もキラキラしていました。いざ作業がはじまると真剣なまなざしに変わり、ピンと張った空気の中、皆さんの緊張が伝わってくるような静かな時間。一工程終わるたびにふぅ~と息がもれ、隣あわせた人と「これであってますよね..?」と確認しあっていました。はじめて会った人同士でも濃密な時間を共有したせいか皆さん自然と打ち解けてらっしゃったのが印象的でした。できあがったノートを眺めながら「もったいなくて使えないかも!」「こんなに集中した時間を過ごしたのは久しぶりだった!」と素敵な時間を過ごしていただけたようでした。実際に体験してみて何千冊もこの工程を一冊一冊丁寧に手で・・・ということの重みを感じ、こだわりぬいてものづくりをすることへの強さも感じました。

トークセッションでは引き続き美篶堂の上島明子さんとクルミド出版発行人の影山知明が、手製本の魅力や手製本の未来についてお話しました。一時間ほどの限られた時間ではありましたが、丁寧なものづくりを目指す同士として新たな可能性や、その先にあるちいさな光について語られていました。二人が終始笑顔で話していた姿が印象的で、作り手が楽しんで心を込めて届けるものにはきっとその魅力が伝わるのではないか、と感じた一日となりました。

                   Ustream協力:山本修裕
                   (クルミド出版 秀田絹)